メルカリって何で赤字なんだろうって考えたことはありませんか?
フリマアプリと言えば「メルカリ」という位置付けを手に入れ、2018年6月には東証マザーズに上場しました。
現在、MAU(月間アクティブユーザー)は1500万人に到達し、日本人の10人に1人以上はメルカリを利用している状況です。
そんな中、なぜメルカリは赤字になっているのでしょうか。

紹介する内容
- メルカリが赤字の理由
- メルペイとメルカリUSについて
- 国内メルカリの現状
メルカリが赤字の理由(会話風)

ユーザーたくさんいるし手数料も10%なのに。

「メルカリUS」と「メルペイ」への先行投資が原因らしい

赤字の中身は「メルカリUS」と「メルペイ」への先行投資
先程も書いたように「メルカリ」の国内事業は黒字であり、赤字の原因は米国事業「メルカリUS」と「メルペイ」の広告宣伝費への投資や人件費がかさんだことが理由です。
メルカリの山田進太郎社長はテレビ東京の「カンブリア宮殿」で赤字についてこう述べています。

メルカリは業績を上げることで、評価してもらうという形にしていくしかない。
アメリカで成功できればハリウッド映画のみたいなもの。アメリカで受け入れられるものは世界で受け入れられる
ここ(アメリカ)で受け入れられるものをまず作る。 そして新興国にも進出していく。
メルカリはこの業績についてはあまり気にすることはせず、「将来の利益のために現時点では投資を惜しまない」との考えのようです。
メルカリの売上(全体)
ポイント
- 売上高184億ドル(前年同期比39%増)
- 営業損益−68億円
これまでのメルカリはものすごい勢いで成長してきていました。しかし、2019年の1Qから【105億→132億→135億→143億→145億】と売上の伸び具合が停滞気味になっており、「頭打ちになったのではないか」と言われていました。
メルカリは前回の決算時に、停滞している原因について「出品と購入のバランスを最適化」しており、現在は「出品増加」に力を入れていることが停滞の理由であると言っています。
そして、今回の2020年2Qの売上高は184億(前年同期比39%増)とこれまでで一番の伸び率となっています。
これは「出品」に力を入れた結果、購入も増え売上が増加したということでしょうか。
次に右のグラフの営業損益の推移をみていきましょう。ご覧の通り2020年2Qは68億円の赤字が出ています。
国内のメルカリが順調でも「メルペイ」と「メルカリUS」が足を引っ張っている状態は変わっていません。
ちなみにメルカリの赤字を簡単に説明すると下の表のような内訳になっています。
売り上げ | 営業損益 | |
全体 | 184億円 | -68億円 |
メルカリ | 144億円 | 45億円 |
メルカリUS | 非公開 | 併せて-113億円 |
メルペイ | 非公開 |
この表からもわかるように「メルカリUS」と「メルペイ」が大きく足をひっぱていることがわかります。
なお、「メルカリUS」と「メルペイ」は売り上げ等の詳細を公開していませんし、黒字化の見通しも現在のところないとのこと...。
このような不明瞭な状態では投資家の人たちは怖くて投資してくれませんよね。
メルペイ事業について
ポイント
- メルペイの利用者が600万人突破
- 加盟店が170万か所
- 2020年2月にドコモとの業務提携を発表
といった成果を上げているようです。
しかし、現実問題として、「paypay」があります。「paypay」の利用者数は2020年1月17日時点で総ユーザー数が2300万人を突破しました。
約4倍も利用者数は「paypay」の方がユーザーが多いのです。
ドコモとの業務提携について
「paypay」と大きく差をつけられているメルペイですが、2020年2月にドコモとの業務提携を発表しました。
NTTドコモのdポイントとのポイント連携については、ウォレット機能の連携や加盟店の連携をしていきます。
メルカリの月間利用者は1538万人、ドコモのdポイントクラブの会員数は7345万人と膨大な顧客基盤が共有されるのはメルペイのユーザー拡大に期待が持てます。
また、方針については変化はなく、「メルカリ」とメルカリの売上金を実際の店舗で使うことができる「メルペイ」のシナジー効果をさらに高め、成長させていくつもりのようです。
メルカリUSの事業の現状
ポイント
- GMV127億ドル(前年同期比46%増)
- MAU290万人超
メルカリUSは「GMV月間1億ドル」という数値を目標に掲げています。
この数値はメルカリUSが黒字化できるラインです。
そして、現在のGMVは2020年2Q(3ヶ月)で1億2700万ドルです。
まだまだ目標達成までは長い道のりかと思いますが、着実にGMVを伸ばしているのがグラフから見て取れるので頑張ってほしいところです。
また、「アメリカ人は面倒くさがりな人が多く、出品して郵送まで至らない」とメルカリUS責任者、ジョン・ラーゲリン氏は言います。
そこで、アメリカの大手配送サービスのUPSとも連携し、梱包から配送までを代行してくれるサービスを開始しアメリカ人のユーザー獲得を図ります。
メモ

メルカリの面倒なところは「梱包」だから日本でも実施されてほしいな〜
国内のメルカリ事業について
メルカリ(JP)のGMVについて
ポイント
- MAU(月間アクティブユーザー)は1538万人(前年同期比24%増)
- GMV(流通取引総額)1544億円(前年同期比20%増)
- 営業利益率は前年同期比32%
上記のように国内のメルカリは堅調な成果を上げています。
前年度は「購入」を重視した施策でGMVを拡大していましたが、2020年1Qは「出品」を強化した結果、GMVが停滞していました。
今回の決算では、GMVは大きく伸びて出品者は順調に拡大しているため、第3四半期以降の回復を目指していくようです。
出品と購入のバランスを最適化
売上の話でもしましたが、メルカリは「出品と購入のバランスを最適化」しようとする施策を行っています。
売上の伸び悩みが心配されていた2020年1Qは出品増加を意識した施策を行っていましたが、11月、12月には購入促進のキャンペーンを増やしていたようです。
ガイドを緩和して出品増加!?
メルカリは2019年12月末頃に「株主優待券、QUOカード、図書カード」の出品が解禁し話題になりました。
株主優待券は他のフリマサイトでは出品が可能でした。メルカリでも「株主優待券、QUOカード、図書カード」を解禁し、他のフリマやオークションサイトへの取引需要をメルカリへ取り戻したこともGMV増加に影響しているはずです。
詳細が気になる方は、メルカリへの問い合わせもしてますので、ぜひご覧ください。
メルカリの財務状況
ポイント
- 自己資本比=21%
- 現金は1267億円ほど
メルカリって思ったより現金もってるんですね。
この金額を見るだけだとまだまだ大丈夫そうな印象があります。
ただ、今回のメルカリの赤字は「68億円」なので、このペースで赤字を出していくと1年間で約300億円の赤字が出てしまいます。
このまま赤字を垂れ流す状況が続けば安心できる状態とは言えません。
まとめ

メルカリのこれからはメルカリUSとメルペイにかかっています。
メルカリUSのジョン・ラーゲリン氏は2020年の半年〜1年が勝負であるといいます。
投資自体は問題ないですが、良い結果として示してくれることで利用者や投資家の人たちは安心できます。